以前肺の機能評価としてA-aDO₂を紹介しましたが、
欠点として、酸素投与中は評価できないというものがありました。
では投与中はどうするのかという点ですが、
今度は酸素投与中でも評価できる項目であるP/F比について紹介します。
皆さんは患者さんの酸素化の評価についてどう考えますか?
PaO₂が高ければ問題ないと感じるのは間違っていませんが、
PaO₂だけでは評価できないのも事実。
これを理解できると人工呼吸器中の患者さんの現在の状態の評価も可能になるので
ぜひ最後まで見て行ってください!
P/F比について

P/F比は動脈血の酸素分圧と吸入気酸素の比で表されます。
この比率で酸素化を評価することが可能となります。
この計算式からもわかると思いますが、PaCO₂は一切考慮していないので、
単純に肺の酸素化がわかるというものになっています。
また、FiO₂は酸素投与していないと分からないじゃないかと思いますが、
私たちが普段呼吸する際に使用している空気は21%の酸素が含まれているため、
酸素投与していない患者を評価する場合は21%で計算しましょう。
P/F比の正常値は400以上となっており、300以下となるとARDSと診断される場合があります。
P/Fの評価
P/F比は肺の酸素化の評価に使用できると紹介しましたが、
急性肺障害の診断に用いられることが多いです。

ARDSは急性呼吸窮迫症候群とも呼ばれる疾患で
呼吸不全の一種です。
重症肺炎や敗血症が原因で、原因となる疾患の発症から24~48時間以内に発生すると
言われています。
ちなみにP/F比が100以下というのはFiO₂100%で管理しているのにも関わらず、
PaO₂が100mmHg以下の状態ということです。
この状態がどの程度危険なのかというと、
人工呼吸器の設定ではどうしようもない状態まで来ているということです。
なぜなら、人工呼吸器の設定は100%が限界のため、これ以上の酸素投与は不可能だからです。
ならPEEPを上げれば?と思う人もいるといるかもしれませんが、
この状態までくると、PEEPは限界まで上げてあることがほとんどですし、
FiO₂が低値であれば上げればいいのですが、かなりの異常事態であることは間違いないです。
ここまでくると人工呼吸器の目的でもある酸素化の改善が達成でいないため、
V-VECMOの導入が検討されます。
今患者さんの肺の酸素化はどんな状態なのか
まだ改善の余地があるのかを判断することができる
P/F比は非常に優秀な評価指標の一つです。
まとめ
今回は肺の酸素化を評価してくれる指標であるP/F比について紹介しました。
P/F比はARDSの重症度を評価することもできる重要な指標です。
使いこなすことができれば医師の治療方針も見えてくると思うので
ぜひ活用してください。
一緒に頑張りましょう!