患者さんの体内に植え込まれていることのあるペースメーカー。
どれも同じだと思っていませんか?
私の経験上、病棟の看護師さんや循環器以外の医師の中には種類がある事を知らない方も多いです。
これ実はすごく重要なことで、臨床工学技士としては絶対に抑えておかなければいけないことです。
今回は体内に植え込まれているペースメーカーの種類について紹介していきます。
本記事は全く知識がない方でもわかるように紹介していきます。
今後各デバイスについてもっと詳しく紹介していきます!
どうやって体内の機械を判断するの?
まず、結論から申し上げると、体内に植え込まれている=ペースメーカーではありません。
これ以外と衝撃だった人もいると思いますが間違いありません。
なんなら、写真の患者さんのようにボコッとしたものが体表になくても
ペースメーカーが体内にある患者さんもいます。
ちなみに私達臨床工学技士も、体表だけの情報ではペースメーカーかどうなのかの
判断はわかりません。
ではどうしているのか・・・
胸部レントゲンで判断しています。
さらにややこしくするとペースメーカーなどの機械は複数社存在しており、
会社によってペースメーカーの設定に使用する機械も異なるため、
そこも胸部レントゲンで判断しています。
正直、これに関してはかなりマニアックな話になるので今回は説明しませんが、
こんな感じで判断しています。
なら初心者でも判断するにはどうすればいいのか?
てかそもそも何種類あるねん?
そんな疑問に答えていきます。
ペースメーカーの種類について
まず、ペースメーカーには大きく分けて4種類あります。
また、治療機器ではないのですが、心電図の測定するために
体内に植え込まれているICM(ILC、ループレコーダとも呼ばれる)という機械も存在しています。
この4種類を見てもらえると分かると思いますが、
そもそも今回のペースメーカーって何種類ある?っていう時点で
少しおかしな話なんですよね。
ではこの4種類についてさらに紹介していきます。
ペースメーカーについて
まずはペースメーカーです。
皆さんが認知している通り、体感でもとりあえずペースメーカだろうと
思っていれば間違いないレベルで多い機械です。
基本的には徐脈に対する治療で用いられる機械で、具体的な疾患と言えば
洞不全症候群(SSS)や房室ブロック(AVB)などです。
PMのなかにはリードレスペースメーカーという体内に本体があるタイプの
機種が存在しており、これは体表からは全く分からないので注意が必要です。
本来であればMRIなどで設定変更が必要なのですが、気づかれずにそのまま・・・
というアクシデントが年に1回ぐらいあります。
ちなみにMRI設定は変更してなくて、その後に故障などが起きたことはないのですが
万が一を考えると非常に恐ろしいです。
現在、リードレスペースメーカーは
メドトロニック社のMicraシリーズ
アボット社のAveirシリーズ
が該当します。
植え込み型除細動器(ICD)について
つぎは植え込み型除細動器(ICD)です。
これも見た目はペースメーカーと同じ見た目なのですが
治療目的が徐脈と致死性頻脈なので全然違います。
ただ、ICDは実は徐脈の治療もできます。
ええ、、と思ってしまうのですが、基本的に致死性頻脈が発生し、
除細動がかかった場合、一時的に徐脈になることが多いのでそれのバックアップという目的です。
実際には作動しない人もいるのですが、中にはペースメーカーと
ほぼ同じような状態になっているICDを見かけるときもあります。
個人的にはペースメーカーに除細動器の機能が付いたアップグレード版みたいな印象です。
ただ、致死性頻脈はいつ起こるかわからないし、発生した場合、
命にかかわることが多いので、甘く見ていてはいけません。
また、ICDにはS-ICDという胸部ではなく、左腹部に本体が植え込まれているICDも存在しています。
S-ICDの場合、胸部レントゲンでもわかるため、気づかれないということはありませんが
胸部には傷がないため、一点だけ見ていると気がつかないかもしれません。
ちなみにS-ICDはボストン社の機種となっています。
両心室機能付きの機種(CRT-P、CRT-D)
最後はCRTです。
これも一見見た目は同じですがまだ別の機種となっています。
ただ、PMと同じ機能を持つCRT-P、
ICDと同じ機能を持つCRT-Dと分かれていることに注意が必要です。
最大のポイントはペーシングを行う際に右心室、左心室の両方ペーシングを行うという点です。
CRTは重症心不全の改善に非常に有効的で近年使用頻度も増えてきている印象もあります。
まとめ
今回は患者さんの胸部に植え込まれている機械について紹介してきました。
とりあえず胸部に機械が植え込まれていた場合、
ペースメーカー、ICD、CRT-P、CRT-Dのどれかだと思ってもらって大丈夫です。
最も適切な判断は胸部レントゲンを見ることですが、
患者さんの疾患でもある程度判断できます。
患者さん本人が持参している手帳があれば、それを確認するのが一番確実です。
臨床工学技士として、機種はもちろん、どのメーカーの機種なのかも理解する必要があるため、
まずはここから抑えていきましょう。
今後、各種機器についても解説していきますのでご期待ください。
一緒に頑張りましょう!