知ってると安心!酸素ボンベ残量について

酸素ボンベの残量について 呼吸療法

皆さんは病院内や搬送時に呼吸器を移動させる際に回路の抜けや、
SpO₂などのバイタルは注意していると思いますが、
酸素ボンベの残量について気にしたことはありますか?

もちろん酸素投与が21%なら不要なのですが、それ以上になると酸素ボンベが必要になります。

搬送時に「あれ?これ残量足りるかな?」とか「これ酸素無くなるぞ!」と思い焦った経験はありませんか?

最初に確認して新品のボンベを用意するのもいいのですが、だいたいあと何分持つのか分かれば安心しませんか?

今回はそんな働き出してからもう聞けない、知ってると安心するガスボンベの残量について紹介します。

酸素ボンベの残量

酸素ボンベの残量は圧力計の数値で判断することができます。
たまに病棟から残り僅かの酸素ボンベを手渡されることがあるのでその時はさすがに新品に交換してください
とお伝えするのですが、圧力計の値が8MPaとかだとめちゃくちゃ微妙じゃないですか?

一応レギュレーター(圧力計)の値としては5MPa以下であれば要注意という記載があるため、
一般的には交換対象なのですが、それ以上ある場合はそのままのことが多いです。

ただ、人工呼吸器装着中の患者さんの中には重症度も高く、高濃度の酸素投与をしている場合があります。
そんな時にボンベの残量が空になったらとんでもないことになるので注意が必要です。

この残量がわかれば酸素ボンベがどのぐらい持つのかもわかってきます。
例えば先ほど例に上げた8MPaの場合に酸素ボンベの残量を計算してみようと思います。

計算式は
レギュレーターの値(MPa)×30=残量(L)
なので・・・
8×30=240
よって240L残っていることとなります!

レギュレーターの値(MPa)×30=残量(L)
この計算式はレギュレーターの値を×30することで大体の値が算出できます
計算しやすいように30ですが、厳密には
レギュレーターの値(MPa)×ボンベ内容量×10×0.8=残量(L)
です。
この時、酸素ボンベ内容量は3.5Lが一般的なため、3.5
×10は圧力の単位をMPaからkg/cm²に変換するため
×0.8は安全係数
となっています。
3.5×10×0.8=27.2となるため、大まかに30と設定しています。


・・・で?という方もいいと思います(笑)
実際私も残量がわかったところで・・・となります。
ではここからどうするのかというと、
残時間=残量÷流量(L/min)
なので・・・仮に酸素5Lで投与しているとすると
240÷5=48
よって残時間は48分になります!

意外と持ちますね!
と、まあこんな感じで酸素ボンベの残量を計算してもらえると大丈夫です!

酸素ボンベの残量(人工呼吸器の場合)

先ほどは一般的な酸素ボンベの残量の計算を行いました。
人工呼吸器を装着している場合でも同様の計算方法でいいのですが、厳密には異なるので紹介しておきます。

人工呼吸器のボンベ使用量=分時換気量-((分時換気量×(1-FiO₂))/(1-0.21))

というとんでもなく複雑な計算式になります。
つまりは酸素濃度が100%ではない場合、その濃度差分使用量が減少するため、
このような複雑な計算式が誕生しました。

ざっくりと酸素濃度100%で計算する方が残り時間が短く算出されるのですが、
その残時間までにボンベを使用終了すればいいですし、
万が一超えたとしてもまだ数分間は猶予があるはずなので、むしろ100%で計算している方がいいと思います。

短めの残量を伝えることで搬送する医療従事者全員にその時間までに搬送しなければという意思が生まれるため、
個人的にはお勧めです。

まとめ

今回はボンベの残量計算の方法について紹介しました。
知っているような知識ではあると思うのですが、むしろ知らないと恥ずかしいという感じです。

学生時代は国家試験にも出ていたと思うので理解できている人がいると思いますが、現場で働きだすと
大体これぐらいで動いてしまうため、正確な残量時間と言われると胸が苦しいです・・・

そんな時にこの記事を振り返ってもらえると幸いです。

おまけとして早見表を載せておくので参考にしていただけると幸いです。

一緒に頑張りましょう!