肺の状態が明確に!A-aDO₂について

A-aDO₂について 呼吸療法

皆さんはA-aDO₂(えーえーでぃーおーつー)という言葉をご存知ですが?
肺の機能を評価する上では絶対に外せない測定値の一つですが
PaO₂やPaCO₂だけで評価しようとする人はいませんか?

たしかにどちらの値も重要なのですが、これらはあくまで血中の値です。
肺に機能をより詳細に評価したい場合は、A-aDO₂が有効です。

今回は皆さんの考える患者さんの肺機能評価にさらに根拠を付けるための測定値、
A-aDO₂について紹介します。

これが肺機能評価のプロになるための第一歩です。

A-aDO₂ってなに?

A-aDO₂は肺胞気動脈血酸素分圧較差のことで、
簡単に説明すると、肺に含まれる酸素分圧と血管内に含まれる酸素分圧の差を見ています。
この値が10torr以内であれば正常です。

ちなみにこの値は0に近いが良く、
肺で取り込まれた酸素がしっかり体内に取り込まれているということです。

A-aDo₂の評価方法

A-aDO₂については理解できたと思うので、ここからは評価方法について紹介します。
まず、A-aDO₂は単体での評価ではなく、PaO₂の値も併せて評価する必要があります。
A-aDO₂を算出する際には必要となるため、数値を一緒に控えておきましょう。

①A-aDO₂が正常値であった場合
 A-aDO₂が正常値であった場合、基本的に肺機能に異常がないと考えて問題はないです。
 つまり、肺胞から血液への酸素の移動は異常なしということです。

②A-aDO₂が異常値であった場合
 A-aDO₂の値が10以上になる場合、
 これは肺の中に含まれる酸素量は多いにもかかわらず、血中には酸素が少ない状態であるため、
 肺の機能が低下している可能性が高いです。

ちなみに血中の酸素分圧が肺胞の酸素分圧を上回ることは理論上ありえないので
A-aDO₂の値がマイナスになった場合はそもそもの測定値がおかしいと思った方がいいです。

また、A-aDO₂は正常値ですがPaO₂が低値という場合は、
そもそも人体に酸素が不足している可能性があります。
酸素投与も一つの治療手段ではありますが、すぐに酸素投与を始めると危険ですので、
基礎疾患も含めて総合的に判断する必要があります。

A-aDO₂の注意点

肺機能評価に優れているA-aDO₂ですが、評価に当たり、注意点があります。
それが、酸素投与下では正確な評価ができないという点です。

酸素投与下である場合、肺胞内の酸素分圧が上昇するのは当然ですが、
血中の酸素分圧はそこまで上昇しません。

理由としては肺の機能が低下しているため、酸素投与量、
濃度を増やして無理やり血中へ酸素を送っている状態だからです。

本来であれば空気を肺に取り込んでそこから酸素を血中に取り込むという流れですが、
そもそも大量の酸素が流れてくるため、仮に肺機能が正常であっても
A-aDO₂の値は上昇します。

過剰な酸素は血中に取り込むことができませんが、肺には送られてくるという状態になるため、
酸素投与下の患者に対しては評価できないというのが難しいポイントです。

まとめ

今回は肺機能を評価する指標となるA-aDO₂について紹介してきました。
この値を用いることで治療方針を決めることもでき、
とても役立つ数値となっています。

ただし、大きな落とし穴として、酸素投与下の患者には評価できないという点です。
これはつまり人工呼吸器装着中の患者に使用できないということで、
ウィーニングなどの指標にならないのは残念です。

それでも知っておくべき評価項目の一つですし、
人工呼吸器装着の根拠になる指標ではあるのでしっかり覚えて役立てましょう。

一緒に頑張りましょう!