徐脈の緊急対応 テンポラリーについて②

テンポラリーについて 血管カテーテル

今回は一時ペーシングが可能となるテンポラリーを挿入した後の管理方法について紹介していきます。

テンポラリー適応患者やテンポラリー挿入までの流れについては前回の記事をご参照ください。

今回は第2回として挿入後のテンポラリーの管理について紹介していきます。
ではさっそく見て行きましょう!

テンポラリー挿入患者の管理

テンポラリー挿入患者の注意すべき点は主に3つ存在しています。

まず、テンポラリーの設定、テンポラリーに異常がないかについてです。
これは例えば医師からVVI60という設定を受けていたにも関わらず、
VVI40になっているというパターンが考えられます。

この40と60の差は患者さんに大きな影響を与えるものであるため、非常に危険なのですが、
テンポラリーは誰でも簡単に触ることができるため、不意に触った際に設定が変わってしまう
ということも少なからずありえます。

また、設定レートが60であるにも関わらず、自己脈が30で出現している場合があります。
これはペーシングが一切機能していない状態で、テンポラリーが意味ない状態となっているのですが、
原因として考えられるのは
ペーシングカテーテルの位置が変化してうまくペーシングができなくなっている(閾値の上昇)
電池切れ
のどちらかです。

電池交換でも改善が無ければ早急に医師に相談する必要があります。

つぎに、心電図波形の変化が生じていないかについてです。
実は、テンポラリー挿入後の患者で今まで徐脈だった人が急に頻脈になったりすることもあります。
この場合は別の治療も必要となるため、状況に応じて医師に相談する必要があります。

最後に感染が生じていないかについてです。
テンポラリーは清潔野で経皮的に挿入しているのですが、感染が起きる可能性があります。
病棟へ帰室後は刺入部の感染兆候の観察は必須となり、発赤、熱感、腫脹などがないことを
日々確認しましょう。

テンポラリーの今後について

テンポラリーはあくまで一時的なペーシング装置だという説明はしたと思いますが、
基本的に徐脈が戻らない場合、永久的なペーシング装置を植え込む必要性が生じます。

これはペースメーカーと呼ばれる機械で、患者さんのQOL向上のためには必須となります。

テンポラリー挿入後の患者さんはその後の治療方針について医師、家族を含めて話し合い、
永久的なペースメーカーの挿入に同意をいただく形となります。

これは施設であったりテンポラリーを挿入したタイミング、
患者さんの状態によってもバラバラですが
早ければ翌日、遅くても1週間以内にはぺースメーカー植え込みを行います。

テンポラリーはペースメーカー植え込みの当日までは設定通りに操作を行い、
ペースメーカー植え込み時に問題が無ければ電源をOFFにします。
この時、HR30台あれば徐脈ですがペースメーカーを植え込むので大丈夫です。

つまり、テンポラリーはペースメーカーへの橋渡しとなる機械ということです。

まとめ

今回はテンポラリー挿入後の管理と抜去までの流れを紹介しました。
ここで疑問に思うのが、最初からペースメーカーを入れておけば?というところですが
不可能な点が2つあり
1.準備に時間がかかる
2.患者さんの生活が制限される
ということからテンポラリー挿入してからペースメーカーという流れが多いです。

もちろん徐脈の症状が軽症の場合はそのままペースメーカー植え込みということもありますが。

なので、テンポラリーを挿入するタイミングというのは
患者さんが徐脈になってかなり危険かつ緊急時だということは理解しておきましょう。

手技自体はそこまで難易度が高くありませんが、患者の命を救う非常に重要な機械です。
ぜひこの機会に覚えて行ってください。

一緒に頑張りましょう!