知らないと恐ろしい、電解質カリウム(K)

Kについて 病態生理

皆さんが血液検査のデータを確認する際に注目するべき点はどこですか?
色々確認すべき点はあると思いますが、その中でも注目してほしいポイントの一つがKです。
つまり、カリウムです。

カリウムって何がそんなに恐ろしいのか知らない人はまだいませんか?
実際にICUに来た患者さんで「カリ高いんで今から透析やります」ってことは結構あります。

透析患者の場合は特に気にしないといけないカリウムですが、実は少なすぎても問題です。

結局カリウムはどうなってたらいいんだと悩む方たちのために、
今回はKの適正な値について紹介していきます。

カリウムは体になぜ必要なのか

まず、血液中のカリウムの正常値は3.5~5.0mEq/Lとされています。
このカリウムの主な役割は細胞内の浸透圧を維持することです。
体の水分バランスを調整するためにはナトリウムとカリウムが重要なのですが、
むくみの原因ともなるナトリウムを尿として排泄する役割があります。

むくみ改善に有効的であるため、カリウムをたくさんに摂取しましょうという
話もよくあります。

カリウムが高値の場合

カリウムが高値の場合(5mEq/L以上)、吐き気や脱力感といった症状が出ることがあります。
そして、最も怖いのは高カリウムによる不整脈です。

カリウムが高値になるとテント状T波と呼ばれるT波が高い状態になります。
ここからさらにカリウムの値が高値になるとPQ時間の延長、QRS幅の延長を引き起こします。
このように徐々に心臓の動きが遅くなっていき、心房停止、心内伝導障害から心室細動を引き起こします。
致死性不整脈は命に関わる危険性が高いので、カリウムが高値の場合は早急に対応する必要があります。

K値が高値の場合は薬物療法や透析治療が選択されます。

  • 高カリウム血症はK値が5mEq/L以上
  • 心電図変化に注意(初期症状はテント状T波)
  • K値の高値化が進むと心室細動を引き起こす
  • 緊急時は透析治療が必要となる

カリウムが低値の場合

カリウムが低値の場合(3mEq/L以下)、筋力低下や筋肉のけいれんやひきつりといった症状が出ることがあります。
そして、最も怖いのは低カリウムによる不整脈です。

カリウムが低値になるとU波の出現、増高が生じます。
ここからさらにカリウムの値が低値になるとU波とT波が融合してしまい、QT間隔の延長を引き起こします。
これによりトルサード・ド・ポアンツや心室細動などの致死性不整脈を引き起こします。

トルサード・ド・ポアンツはQT時間の延長することで誘発される多形性心室頻拍の一種です。
心室細動と同じく致死性の不整脈となるため、注意が必要です。

K値が低値の場合は薬物療法が選択されます。

  • 低カリウム血症はK値が3mEq/L以下
  • 心電図変化に注意(初期症状はU波の出現)
  • K値の低値化が進むと心室細動を引き起こす
  • 塩化カリウム(KCL)などの薬物療法が選択される

まとめ

今回はカリウムについて紹介しました。
適正範囲は3~5mEq/Lの範囲内であり、コントロールが非常に難しい電解質となっています。

この値が高値になっても低値になっても致死性不整脈の原因となり、危険です。
基本的にはK値を補正するためには食事療法や薬物療法が選択されます。
低カリウム血症の場合は塩化カリウム(KCL)で補正を行うことがあり、
高カリウム血症は透析メインで透析治療を行います。

どちらも心電図変化が出始めたら早急に対応しなければいけません。

血液ガスをとった際はKの値も確認するようにしましょう。

一緒に頑張りましょう!