ここ気にしたことある?透析液温について

透析液温について 血液浄化

皆さんは透析中の設定項目に除水量や血液流量、透析時間などがある事はもちろんご存知だと思います。
ただ、透析液温についてはなにも設定を変更しない人も多いのではないでしょうか?

え?透析液の温度ってそんなに重要なの?
だいたい36度ぐらいなんじゃね?
って感じの人も多いと思います。

今回は透析治療中に知っていると得する透析液温の設定について紹介していきます。

透析液温について

まず、透析液温とは、その名の通り、透析液の温度なのですが、基本設定は36.5℃であることが多いです。
これの目的は透析液を体温と同じぐらいの温度にして流すことで、
血液温度を一定に保つためです。

基本的に透析温は体温に近い値にするのが一般的ですが、
ある特定の条件下では透析液温を変更する場合があります。

透析液温を変更するタイミング

透析液を変更するタイミングとして最も多いのは、患者さんから暑い、寒いと要望があった時です。
特に、冬場の寒いという声に対して透析液温を37℃程度まで上げることは一般的です。

私は透析を経験したことがないのでわからないのですが、
透析液温を上昇させると体温がかなり暖かくなるそうです。
内側からあったまるわけですから確かに暖かくなりそうですね。

このほかにも臨床的な理由で温度を変更することがあります。
それが、低血圧時に透析液温を低下させることです。

理由として、透析液温を低下させることで体温が低下し、血管収縮の効果が見込まれるのですが、
これにより、血圧が上昇するというものです。
また、透析患者に多い、起立性低血圧を予防するために事前に血管を収縮させておくという方法もあります。

ただ、個人的には血圧低下時には足を上げ、心臓に血液を送ったり、
起立性低血圧の予防には透析終了時に頭部を上げておくといった対応が一般的かと思います。

ただ、血圧低下時にカテコラミンを使用すると患者さんの負担になりますし、
何よりも不要な薬剤を投与したくはないため、可能であれば私は透析液温も一緒に変更します。

透析液温を変更するデメリット

透析液温を変更させることのメリットについても紹介しましたが、逆にデメリットも紹介しておきます。

まず、透析液温については最大でも37℃程度までの上昇にしましょう。
理由としては、先ほど低温になると血管が収縮され、血圧上昇が見込めると説明しましたが
逆に高温になると血管が拡張され、血圧が低下してしまいます。

血圧低下は透析患者にはよくある事で、可能であれば避けるべき行為であるため、
透析液温の上げすぎはむしろ血圧を維持するためには逆効果ということです。
ちなみに41℃程度まで上昇させると溶血する可能性もあるため、
その辺も考慮して37℃程度までにしましょう。

また、低温にする場合も35℃までが良いです。
低くし過ぎると、今度は血液温が低いため、冷感になるのはもちろんのこと、
腹痛の原因にもなるので不快感のある透析の原因になります。

血圧を下げるという目的がある場合はある程度仕方がないですが、
35℃以上下げてもむしろデメリットの方が顕著に表れるため、
別の方法で血圧を上昇させるのがいいでしょう。

まとめ

今回は透析液温の設定について紹介してきました。
結論36.5℃でキープしているのがいいような気もしますが、
設定変更することでこういう効果があるんだというのはやはり選択肢が広がりますし、
血圧が下がり始めたな・・・ぐらいの時に透析液温を下げるのは効果的かもしれません。

実際に患者さんが足の骨折をしていてそもそも血圧低下時に足を上げることができないと
なった時にでも別の選択肢として透析液温を下げるという行動ができるといいですね。

正直効果はあまり顕著に表れないですが、操作も簡易的ですし、
患者さんの負担にもならないので
見習いMEさんにとっては気軽にできる医療行為の一つだと思います。

とても些細なことかもしれないですが、こういう行動から徐々にスキルアップしていくのがいいと思います。

一緒に頑張りましょう!