皆さんはIMPELLA(インペラ)って言葉を知っていますか?
めちゃくちゃ簡単に説明すると、IMPELLAは心臓の中に小さなポンプを入れるという話です。
そんなIMPELLAは日本で2017年に保険適応されたばかりのまだまだ歴史の浅い
補助循環装置です。
今回はそんなIMPELLAの基本情報と適応疾患について紹介していきます。
ぜひ最後まで確認していってください!
IMPELLAについて
IMPELLAは左心室にポンプを留置して駆動する補助循環装置です。
現在日本では経皮的に挿入するタイプと外科的に挿入するタイプの2種類があります。
基本的には経皮的に挿入できるIMPELLA CP SmartAssistが使用されている印象です。
長所はなんといっても経皮的かつ簡易的に挿入できる点です。
ちなみに挿入時のアプローチ部位は大腿動脈です。
IMPELLA 5.5 SmartAssistについては外科的治療が必要となるため、
多くの場面で見ることはないのですが、長期間の留置が可能というメリットと
高流量で駆動することができるというメリットがあります。
・IMPELLA CP SmartAssist 留置期間1週間程度 MAX3.7L/min
・IMPELLA 5.5 SmartAssist 留置期間1ヵ月程度 MAX5.5L/min
IMPELLAは何をしているの?
IMPELLAが左心室の中にあるのはわかったと思いますが、実際何しているの?
というところで、IMPELLAは左心室の補助がメインです。
流れとしては、左心室の血液を脱血し、上行大動脈に送血するということです。
通常であれば左心室が駆出して全身に血液を送っていたのですが、
その仕事の補助というワケです。
つまり、左心室の仕事量の低下という効果に期待できます。
これは左室圧容量負荷の低下による心筋酸素消費量の軽減にもつながります。
また、送り出す血液の量が増加する、つまり冠血流量の増加も期待できます。
これにより、大動脈血流の増加、動脈圧上昇への効果も期待できます。
IMPELLAの適応疾患
IMPELLAは左心室の補助をしてくれるということが分かったところで、
適応疾患について見て行きましょう。
結論から言うと、心臓の収縮力が低下して、全身に血液を送ることができない状態です。
IMPELLA 適応疾患
・急性心筋梗塞
・重症心不全の急性増悪
・劇症型心筋炎 など
逆に、IMPELLAが使用できない疾患というのは
左心室に関連する機能に大きな問題が生じている時です。
IMPELLA 禁忌疾患
・大動脈弁置換術(機械弁)
・中等度以上の大動脈弁逆流症
・左室内血栓 など
特に大動脈弁に異常がある、もしくはあった場合は
IMPELLAの適応外になる可能性があるので注意しましょう。
IMPELLAのメリットとデメリット
ここまで紹介してきたIMPELLAですが、最後にメリットとデメリットを紹介します。
メリットはなんといっても左心系の補助が可能という点です。
全身に血液を送るという本来の心臓の役割を担ってくれている
IMPELLAを有効活用しましょう。
また、経皮的に挿入できるというのもいい点で、すぐに補助開始できるというのは
患者さんにとっても非常に有効です。(一部外科的に挿入するものもある)
デメリットに関しては、IMPELLAが左心系の補助に特化しているという点もあり、
右心系に関しては全く補助ができないという点です。
右心系の補助も必要な場合はPCPSの適応も検討が必要です。
また、呼吸補助を行う機能もないため、肺機能が低下している場合は
V-VECMOなどの適応を検討する必要があります。
最後に位置がずれやすいという点ですが、ここがIMPELLA最大のデメリットで
IABP、PCPSなどの補助循環と異なり、ポンプの位置がずれるという現象が結構あります。
体感としては3症例に1回は位置のずれでトラブルになります。
この位置の管理に関してはICUなどで管理を行う際に必要な知識になります。
このあたりの内容に関しては、また次の機会にまとめさせていただきます。
まとめ
今回はIMPELLAの基本情報、適応疾患やメリット、デメリットについて紹介してきました。
IMEPELLAは近年登場したばかりの補助循環でまだまだ認知が進んでいないです。
しかし、その効果は大きく、様々な症例に対して有効だというデータもあるようです。
次はIMPELLAの管理方法についても紹介していきます。
ICU勤務の看護師さんにも必見の内容ですのでお待ちください。
一緒に頑張りましょう!