血液ガスで肺の異常を見抜く!A-aDO₂の計算と現場での正しい評価法 | みんなのMEセンター

血液ガスで肺の異常を見抜く!A-aDO₂の計算と現場での正しい評価法

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A-aDO₂について 呼吸療法

A-aDO₂を活用する理由が分からない全ての方へ
A-aDO₂
を制する者は状態を制する

呼吸不全の患者さんの血液ガスデータを見て、
「PaO₂は低いけれど、これって肺そのものが悪いの?それとも換気が足りないだけ?」と
判断に迷ったことはありませんか?

先輩から「A-aDO₂(エーエーディーオーツー)出してみて」と言われても、
複雑な計算式や「結局、何がわかれば正常なの?」という壁に突き当たりがちです。

臨床工学技士として、人工呼吸器の適応や酸素療法の妥当性を評価する上で、
この指標を正しく扱えるかは大きな分かれ道になります。

この記事では、現場ですぐに計算できるコツや、
肺の機能障害を見極めるための具体的な判断軸について解説します。

この記事でわかること
  • PaO₂とPaCO₂の値から、その場で「A-aDO₂」を算出する手順がわかる
  • 数値が10torrを超えたとき、「肺の中で何が起きているか」を判断できる
  • 「酸素投与中は使えない?」など、現場でやりがちな評価の落とし穴がわかる
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A-aDO₂ってなに?

A-aDO₂は、肺胞気中の酸素分圧(PAO₂)と動脈血中の酸素分圧(PaO₂)の差を表す指標です。
この値が大きいほど、肺の酸素交換効率が低下している可能性を示します。

臨床工学技士にとって、A-aDO₂は以下のような場面で役立ちます。

A-aDO₂が役立つ場面
  • 人工呼吸器の設定調整
    患者の換気状態を評価し、FiO₂やPEEPの最適化に活用
  • 酸素療法の効果判定
    酸素マスクや高流量鼻カニュラの効果をモニタリング
  • 重症患者の管理
    ARDSや肺塞栓など、急性呼吸不全の原因を鑑別

A-aDO₂を理解しておけば、医師や看護師との連携がスムーズになり、患者の状態変化を早期にキャッチできます。
ちなみにこの値は0に近いほどいいですが、10torr以内であれば正常です。

  • A-aDO₂は肺胞気中の酸素分圧(PAO₂)と動脈血中の酸素分圧(PaO₂)の差を表す指標
  • 正常値は10torr以内

A-aDO₂の計算方法

A-aDO₂を現場で活用するには、計算方法を理解することが第一歩です。

基本的にはA-aDO₂ = PAO₂ーPaO₂で算出できます。
ただし、PAO₂は血液ガス測定することができないため、基本的には別途PAO₂を計算する必要があります。

A-aDO₂の計算で使用する値
  • A-aDO₂:肺胞気-動脈血酸素分圧較差
    PAO₂ーPaO₂で算出
  • PaO₂:動脈血酸素分圧
    血液ガス測定
  • PAO₂:肺胞気酸素分圧
    150ーPaCO₂ / 0.8で算出
  • PIO₂:吸入期酸素分圧
    (760 – 47)×FiO₂ で算出(約150 )
    760=大気圧、47=水蒸気圧、FiO₂=21%
  • PaCO₂:動脈血二酸化炭素分圧
    血液ガス測定
  • 0.8:呼吸商
    定数

つまり、A-aDO₂はPaO₂とPaCO₂の値を血液ガス測定することで求めることが可能になります。

A-aDo₂の評価方法

A-aDO₂については理解できたと思うので、ここからは評価方法について紹介します。
まず、A-aDO₂は単体での評価ではなく、PaO₂の値も併せて評価する必要があります。
A-aDO₂を算出する際には必要となるため、数値を一緒に控えておきましょう。

A-aDO₂の評価方法
  • A-aDO₂が正常値であった場合
    A-aDO₂が正常値であった場合、基本的に肺機能に異常がないと考えて問題はなし
    つまり、肺胞から血液への酸素の移動は異常なし
  • A-aDO₂が異常値であった場合
    A-aDO₂の値が10以上になる場合、肺の中に含まれる酸素量は多い
    血中には酸素が少ない状態であるため、肺の機能が低下している可能性が高い

ちなみに血中の酸素分圧が肺胞の酸素分圧を上回ることは理論上ありえないので
A-aDO₂の値がマイナスになった場合はそもそもの測定値がおかしいと思った方がいいです。

また、A-aDO₂は正常値ですがPaO₂が低値という場合は、そもそも人体に酸素が不足している可能性があります。
酸素投与も一つの治療手段ではありますが、すぐに酸素投与を始めると危険ですので、
基礎疾患も含めて総合的に判断する必要があります。

A-aDO₂の注意点

肺機能評価に優れているA-aDO₂ですが、評価に当たり、注意点があります。
それが、酸素投与下では正確な評価ができないという点です。

酸素投与下である場合、肺胞内の酸素分圧が上昇するのは当然ですが、血中の酸素分圧はそこまで上昇しません。

理由としては肺の機能が低下しているため、酸素投与量、
濃度を増やして無理やり血中へ酸素を送っている状態だからです。


本来であれば空気を肺に取り込んでそこから酸素を血中に取り込むという流れですが、
そもそも大量の酸素が流れてくるため、仮に肺機能が正常であってもA-aDO₂の値は上昇します。

過剰な酸素は血中に取り込むことができませんが、肺には送られてくるという状態になるため、
酸素投与下の患者に対しては評価できないというのが難しいポイントです。

では人工呼吸器や酸素投与中に評価する場合はどうするのか気になった方は
こちらの記事を参考にしてください。

  • 酸素投与中の患者に対してはA-aDO₂の評価ができない

まとめ

A-aDO₂は、臨床工学技士が患者の呼吸状態を的確に評価するための強力な指標です。

計算方法をマスターし、異常値の原因を理解することで、人工呼吸器管理や酸素療法の質を劇的に向上できます。
このスキルを身につければ、ICUや手術室で頼られる存在になれるはずです。

今日から、A-aDO₂を現場で計算し、患者ケアに活かしてみませんか?
あなたの小さな一歩が、患者の命を救う大きな力になります。

ただし、大きな落とし穴として、酸素投与下の患者には評価できないという点です。
これはつまり人工呼吸器装着中の患者に使用できないということで、
ウィーニングなどの指標にならないのは注意です。

一緒に頑張りましょう!

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