臨床工学技士が透析とは違うアフェレシス療法で迷わないための基本整理 | みんなのMEセンター

臨床工学技士が透析とは違うアフェレシス療法で迷わないための基本整理

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アフェレシス療法について 血液浄化

透析は分かるけれど、アフェレシス療法になると全体像がつかめない臨床工学技士の方へ
― 見た目が似ている治療の「目的」と「除去対象」を整理すると判断軸が明確になる ―

透析室で「今日はPEをやります」と言われ、装置や回路を見た瞬間、見た目は透析とほとんど同じなのに、
中身の説明になると理解が追いつかず戸惑った経験はないでしょうか。

透析装置を使っているのに、除水ではなく血漿を扱い、補充液としてアルブミンやFFPが出てくる。
この治療は何を目的にしていて、透析と何が違うのかが整理できていないと、業務の全体像がつかめません。

この記事では、臨床工学技士が最初につまずきやすいアフェレシス療法について、
透析との違いと治療の考え方を整理して解説します。

この記事でわかること
  • アフェレシス療法が透析療法と何を目的に使い分けられているのかが理解できる
  • 代表的なアフェレシス療法の種類と治療の考え方が分かる
  • 補充液が必要な治療と不要な治療の違いを整理し、現場での説明や準備の判断軸が明確になる
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アフェレシス療法とは

そもそもアフェレシス療法の定義としては体外循環操作により、
血中から病気の原因となる液性因子やリンパ球やウイルスなどの細胞を分離除去し、
病態の改善を図る医療手技と言われています。

これはつまりタンパク質やタンパクと結合して血中に存在する病因物質や
炎症性サイトカインなどの除去を意味します。

比較対象として、透析療法についてもおさらいしておきますが、実はアフェレシス療法と同じく、
患者さんの病態の改善を図るために過剰、有害物質の除去、不足物質の補給を行い、恒常性を保つことが目的です。

では何が違うのかというと、病態の改善を図る対象が違うということです。

例えば、透析療法の場合は水分やナトリウム、カリウムといった電解質がメインターゲットとなります。
一方でアフェレシス療法の場合、タンパク質や脂質がメインターゲットとなります。

つまり、この2種類の治療をどのように使い分けているのかというと、
除去、補給する物質の分子量によって決まるというわけです。

ちなみにアフェレシス療法の場合、使用する膜で病因物質を除去し、
適時不足した成分はFFP(新鮮凍結血漿)かアルブミン製剤を使用し、補充しています。
そのため、透析と比較し、費用面が圧倒的に高いです。

  • アフェレシス療法は病気の原因となる液性因子やリンパ球やウイルスなどの細胞を分離除去する
  • 透析療法との違いは治療対象の物質が異なということ
  • 補充液にはFFPまたはアルブミンが使用される

アフェレシス療法の種類

アフェレシス療法は透析療法と同じく、複数分かれています。
まずは全体の概要としてまとめたものがこちらです。

ちなみに血漿成分の部分にHD~HDFも含まれます。

アフェレシス療法は主にこれら7種類の治療法があるということは覚えておいてください。
ちなみにここからさらに細分化する場合もあるので、実際にはもっと種類が多いです。

これから各治療法の大まかなイメージについて紹介していきます。

PE(単純血漿交換)

PEは単純に血漿成分を有害、無害関係なく廃棄する治療法です。
最大のメリットはすべての血漿を除去するため、血漿領域の血液浄化療法の中でも
最も適応範囲が広いという点です。

つまり、病因物質が何であっても除去できるということです。
なお、凝固因子等も当然廃棄されるため、補充液にはFFPが使用されます。

使用する膜は血漿分離器です。

適応疾患は様々ありますが、薬物中毒、劇症肝炎などが挙げられます。

  • PEはすべての血漿を廃棄する治療法
  • 血漿分離器が使用される
  • 補充液にはFFPまたはアルブミンが使用される

DFPP(二重濾過血漿交換)

DFPPは血液を一度血漿と血球成分に分離させ、血漿成分をさらに分離させることで、病因物質だけを
選択的に除去できるという治療法です。

この方法のメリットはPEと比較して、血漿成分の廃棄量が少なく済むので、
感染リスクの低いアルブミンが補充液として採用できる点です。

使用する膜は血漿分離器と血漿成分分画器です。

適応疾患としては同種肝移植などが挙げられます。

  • DFPPは血漿の一部を廃棄する治療法
  • 血漿分離器と血漿成分分画器が使用される
  • 補充液にはアルブミンが使用される

PA(血漿吸着)

PAは血漿分離器で血漿成分と血球成分を分離した後、選択式血漿成分吸着器に血漿成分を通し、
病因物質のみを吸着し、残りの成分はすべて体内に戻すという治療法です。

この方法のメリットは、病因成分のみの除去となるため、補充液が必要ないという点です。
ただし、病因物質が特定できないとこの治療を行うことができないため、
慎重な判断が必要となります。

使用する膜は血漿分離器と選択式血漿成分吸着器です。

適応疾患としては全身性エリトマトーデスや悪性関節リウマチ、家族性高コレステロール血症などが挙げられます。

  • PAは血漿の一部を吸着する治療法
  • 血漿分離器と選択式血漿成分吸着器が使用される
  • 補充液は不要

SePE(選択的血漿交換)

SePEは通常のPEが血漿分離器を使用するのに対して、
その代わりにエバキュアープラス(選択的膜型血漿分離器の一種)を使用する治療法です。

この方法のメリットとしては、血漿中の凝固因子であるフィブリノゲンを維持したまま
病因物質(主にIgG領域以下)を除去できるため、補充液がアルブミンでいいという点です。

ただし、フィブリノゲンと同じかそれ以上の大分子であるIgMや免疫複合体は除去できないため注意が必要です。

使用する膜はエバキュアープラスです。

適応疾患としては術後の肝不全や劇症肝炎などが挙げられます。

  • SePEは血漿の一部を廃棄する治療法
  • エバキュアープラスが使用される
  • 補充液はアルブミンを使用

HA(血液吸着療法)

HAは血液を吸着器に通して灌流させるという見た目が血液透析そのものです。
別名としてDHP(直接血液灌流療法)とも呼ばれています。

基本的にはPAと同じく、病因物質を吸着しているだけなので、補充液が必要ありません。
また、血液をそのまま環流させているため、透析装置以外の専用の機械が不要だという点もメリットです。

使用する膜は吸着型血液浄化器です。主に吸着カラムと呼ばれています。

適応疾患としては透析関連アミロイドーシス、間質性肺炎などが挙げられます。

  • HAは血液の一部を吸着する治療法
  • 吸着カラムが使用される
  • 補充液は不要

CAP(血球成分除去療法)

CAPも血液を浄化器に通して灌流させる治療法です。
使用される吸着器は膜型の他に、筒の中にビーズが入ったものもあります。

主に白血球を除去するL-CAPと顆粒球・単球を除去するG-CAPが主流となっています。

使用する膜はビーズを充填したカラムやフィルターで、血球細胞除去用の浄化器が使用されます。

適応疾患としては潰瘍性大腸炎や関節リウマチなどが挙げられます。

  • CAPは血液の一部を吸着する治療法
  • 吸着カラムが使用される
  • 補充液は不要

まとめ

今回はアフェレシス療法についてまとめてきました。
アフェレシス療法は幅広いもので、様々種類があるため、最初は戸惑うと思います。

実際に適応疾患も被っているものも多く、実際にどの治療法を選択するのかはその医師の判断にもよります。

また、透析療法とは異なり、アフェレシス療法は保険適応の期間の問題で、実際の現場で目にすることが少ないのも
苦手意識が出る原因かと思います。

私も初めの頃はアフェレシス療法をやるとわかれば透析室まで見学に行くこともありました。

今回の記事を見ていただき、まずは概要を理解してもらえると、そこから知識がスムーズに入っていくと思います。
今後、各医療法についてはさらに深堀していくのでぜひ楽しみにしてください。

一緒に頑張りましょう!

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