臨床工学技士として、CVカテこと中心静脈カテーテルの知識と技術は、
患者さんの安全と治療の質を支える重要な要素です。
CVカテは看護師さんが管理していることが多いですが、
私達臨床工学技士にとっても知っていると役立つことがあります。
この記事では、CVカテについて分かりやすく解説します。
- CVカテの目的について
- CVカテの構造について
- ルートの選択について
CVカテの基礎知識と目的
中心静脈カテーテル(CVカテ)は、重症患者の薬剤投与、CVP測定も行えるICUでの患者管理上
必要不可欠なカテーテルです。
この中心静脈とは解剖学的に上大静脈と下大静脈を指しています。

CVカテは、鎖骨下静脈や内頸静脈、大腿静脈など大型の静脈に挿入され、長期的な使用が可能です。
なお、CDCのガイドラインでは感染管理上は鎖骨下静脈が適しているとされています。
ただし、合併症のリスクを考慮して挿入部を選択することが重要です。
- 鎖骨下静脈
最も一般的な経路で、急性期の治療や短期的な使用に適している
挿入が比較的容易ですが、血栓や気胸のリスクに注意が必要 - 内頸静脈
緊急時や透析用のアクセスとして使用
頸部に挿入されるため、感染予防が特に重要 - 大腿静脈
末梢静脈の確保が難しい場合や緊急時に選択されますが、感染リスクが高く、長期使用には不向き
CVカテの目的は以下の通りです。
- 高濃度薬剤や栄養投与
高カロリー輸液(TPN)や化学療法薬など、末梢静脈では刺激が強すぎる薬剤を安全に投与
CVカテは大型の静脈(上大静脈など)に挿入されるため、
薬剤が迅速に希釈され、血管への負担を軽減 - 長期的な治療のサポート
長期間の抗生剤投与など、数週間から数ヶ月にわたる治療で安定したアクセスを確保 - 血行動態のモニタリング
中心静脈圧(CVP)の測定など、患者の循環状態を評価するために使用 - 緊急時のアクセス
急性期の患者で末梢静脈の確保が難しい場合、CVカテは迅速な投与経路として機能
また、CVカテの管理には、感染予防が欠かせません。
挿入部位の清潔保持やドレッシング交換のタイミング、フラッシングの方法など、
基本的な手技を徹底することで、合併症を最小限に抑えられます。
臨床工学技士としては、医師や看護師と連携しながら、
患者の状態に合わせた適切な管理をサポートする役割が期待されます。
- CVカテは鎖骨下静脈や内頸静脈、大腿静脈など大型の静脈に挿入
- 感染予防が必要で清潔操作と定期的な管理が合併症を防ぐ鍵
CVカテの先端位置の確認とその重要性
CVカテの効果と安全性を確保する上で、先端位置の確認は極めて重要です。
カテーテルの先端が適切な位置(通常は上大静脈か下大静脈)にないと、
血栓症や心膜タンポナーデなどの重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。
先端位置の確認方法としては、X線撮影が一般的です。
X線画像でカテーテルの先端が中心静脈に正しく位置しているかを確認します。
最近では、超音波ガイド下での挿入も普及しており、
リアルタイムで血管の状態を確認しながら正確な挿入が可能です。
CVカテの構造と使い分けについて
CVカテは主にダブルルーメンカテーテルかトリプルルーメンカテーテルの2種類が採用されていることが多いです。
そのため、CVカテのルーメンは複数あるため、薬剤の投与などの使い分けが重要となります。
よく臨床現場で使用されるトリプルルーメンカテーテルには主に3か所のルーメンがあります。

- 近位(proximal)
もっとも先端から遠い場所
循環作動薬などの薬剤のルート - 中位(medial)
中間に位置する
低流量の薬剤のルート(循環作動薬) - 遠位(distal)
心臓から一番近い(CVP測定箇所)
メイン輸液のルート
なお、ダブルルーメンカテーテルの場合はproximalとdistalの2種類となっています。
- CVPを測定するならdistalがおすすめ
まとめ
CVカテは、臨床工学技士にとって患者の治療を支える重要なツールです。
栄養投与や薬剤投与など、さまざまな目的で使用されるCVカテですが、その投与経路にはいくつかの種類があり、
それぞれの特徴を理解することが求められます。
また、CVカテの構造を把握しておくことで適切な薬剤のルートや先端位置の確認などを行うことができ、
トラブルにも対応できるようになります。
どんな時でもICUで頼りになる臨床工学技士になれると、自信もつくのでぜひ覚えてください!
一緒に頑張りましょう!
