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PCI攻略の鍵?ガイドワイヤーについて

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ガイドワイヤー について 血管カテーテル

PCI中、医師が急にワイヤーを変えた理由が分からない全ての方へ
― ガイドワイヤーの選択は「性能」ではなく「今の困り」で決まる ―

PCI中、
「ワイヤー替えます」
「次、SIONじゃなくてblackで」
「Gaia出してください」

そう言われた瞬間、
なぜそのワイヤーなのか分からず、準備が一拍遅れたことはありませんか?

ガイドワイヤーは種類が多く、
名前・先端荷重・用途を覚えていても、
今この場面で、なぜそれを選んだのかが分からない
ここで新人臨床工学技士は必ず止まります。

この記事でわかること
  • 医師がワイヤーを変えた「理由」を推測できる
  • 次に必要になりそうなワイヤーを先読みできる
  • 「この病変で今一番困っていること」が分かる
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ガイドワイヤーとは

ガイドワイヤーは髪の毛ぐらいの細いワイヤーで、
PCIで使用する場合は血管内の病変部までたどり着くまでのガイドを行ってくれるものです。


基本的にPCIを行うためにはこのガイドワイヤーが病変部まで到達することですべてが始まります。
ガイドワイヤーには様々な種類があり、先端の硬度や荷重、操作性、サポート性などの特徴があり、
病変に合わせて先生方は最も適しているワイヤーを選択しています。

ガイドワイヤーがPCIで重要な理由
  • 病変部までデバイスをガイドするため
    ワイヤーよりもバルーンやステントが大きいのにワイヤーが病変部にたどり着かなければ
    PCIは不可能

つまり、そのワイヤーのことはPCIに関わる臨床工学技士としては知っている必要があるということです。

  • ガイドワイヤーはPCIで最重要
  • 病変部までバルーンやステントを持って行くためのガイドの役割がある

結論:ガイドワイヤー選択は「病変」ではなく「今の困り」で決まる

PCIでガイドワイヤーが重要なのは事実です。
ただし、重要なのは種類を覚えることではありません。
医師が見ているのは常にこれです。

「今、何が一番うまくいっていないか」

困っているポイント
  • ワイヤーが通らない
  • ワイヤーが曲がりすぎている
  • デバイスが進まない

この困りに対して、ワイヤーで何を解決したいかが選択理由になります。

PCI中にワイヤー変更が起きたら、次の順で考えてください。

PCI中のワイヤー変更の理由
  • 病変が「通らない」のか
  • 通ったが「サポートが足りない」のか
  • 血管が「蛇行している」のか
  • 完全閉塞(CTO)なのか

このどれかに必ず当てはまります。

困り別:医師のワイヤー選択の考え方

ガイドワイヤーには様々な種類があるという説明をさせていただきました。
が、ここからはより分かりやすくするためにガイドワイヤーを細分化していきます。

PCIで使用されるワイヤーは数多くあり、
今回は医師がどのようにして使い分けているのかを紐解くために種類分けをしてみました。
まずガイドワイヤーは大きく分けて2種類に分けられます。

ガイドワイヤーの種類
  • 一般病変用
    普通の冠動脈の狭窄の場合に使用
    安全な構造をしており、扱いやすく、操作しやすいのが特徴
    • ファーストチョイスワイヤー
    • ポリマーコートワイヤー
    • サポートワイヤー
  • CTO用
    CTO病変の際に使用されるワイヤー
    先端が鋭い事や重たいことがあり、狭窄部位を通過しやすいのが特徴
    • CTO用ガイドワイヤー
    • テーパーワイヤー

ここからはより具体的に説明してきます。

① 通常の狭窄で「まず通したい」

この場面で選ばれるのがファーストチョイスワイヤーです。
目的は「安全に、素直に、まず通す」

ファーストチョイスワイヤー
  • ASAHI社
    • SION
    • SIONblue

ファーストチョイスワイヤーはPCI用ガイドワイヤーの中でも最も安全と言われる部類のワイヤーです。
現在はガイドワイヤーが凄く進化し、病変の80%近くがこのワイヤーだけで通過できるとも言われています。
つまりはファーストチョイスワイヤーが通らない20%のために
このほかのワイヤーが存在しているということです。

特徴として先端荷重が軽く、パーフォレーションを起こしにくいということが挙げられます。

SIONblueは先端荷重が0.5gとSIONよりも軽量であるため、安全と言えます。
(SIONは先端荷重0.7g)
そういう背景もあり、私の施設のファーストチョイスワイヤーはSIONblueです。
とりあえずPCIになったらSIONblueを準備しています。
→ 新人臨床工学技士が準備を迷わない基本ワイヤーです。

  • 80%は病変を通過するワイヤー
  • 最初に選択するワイヤーとして知られている

② 曲がりが強い・石灰化があり「引っかかる」

血管の蛇行がある病変や石灰化が強い病変。
このとき医師が困っているのは引っかかって進まないことです。
そこで使われるのがポリマーコートワイヤーです。

ポリマーコートワイヤー
  • ASAHI社
    • SIONblack

ポリマーコートワイヤーはファーストチョイスワイヤーと比べて
ツルツル滑る加工がされているのが特徴的です。
ポリマーはプラスチックから作られたもので、親水性コーティングがされています。

高度な屈曲や石灰化などの一般病変に比べて癖のある病変に対して有効ですが、滑りやすいため、
通過した勢いそのままに抹消まで行き、パーフォレーションする危険性があるため、注意が必要です。

  • 滑りやすいため、高度狭窄や石灰化に対して有効
  • パーフォレーションに注意

③ 血管が蛇行していて「デバイスが進まない」

ワイヤーは通ったが、バルーンやステントが進まない。
このときの困りはサポート不足です。
ここで選ばれるのがサポートワイヤーです。

サポートワイヤー
  • Abbott社
    • WIGGLE

サポートワイヤーはワイヤーの先端だけではなく、全体が硬めに設計されているワイヤーです。
このワイヤーは蛇行している血管に対して非常に有効で、このワイヤーを蛇行血管に通すことで、
まっすぐな走行に変えることができます。

注意点は血管を無理やりまっすぐにするため、蛇行部分がうまく変化せず、
蛇腹のように蛇行部分がうねうねしてしまう現象が起きることがあります。
これはアコーディオン現象とも呼ばれる現象で、虚血を引き起こすため注意が必要です。
この現象はワイヤーを引き抜くことで改善します。

  • 蛇行している血管をまっすぐにし、ワイヤーを進めるサポートを行う
  • アコーディオン現象に注意

④ そもそも通らない:CTO病変

完全閉塞で、ファーストチョイスでは歯が立たない。
この場合、医師が求めているのは貫通力です。

ちなみにCTO(Chronic Total Occlusion)病変はPCIの中でも非常に難易度の高く、
患者さんにとっても危険性が高い病変です。
CTO病変の可能性がある場合は、即PCIの可能性が高いです。

ここで使われるのがCTO用ガイドワイヤーです。

CTO用ガイドワイヤー
  • ASAHI社
    • Gaia Next1~3

CTO用ガイドワイヤーは基本的に先端荷重が重いものが多いです。
ファーストチョイスワイヤーなどの先端荷重の軽いものでは通過できないような病変も多く、
その場合はCTO用ガイドワイヤーを用います。

ファーストチョイスワイヤーの先端荷重は1g以下ですが、
CTO用ガイドワイヤーは2g以上のものがほとんどです。
先端荷重が重いものはもちろん病変部の貫通力も高く、CTO病変には適切なワイヤー選択ともいえます。

CTO用ガイドワイヤーは貫通力が高いため、パーフォレーションに注意が必要です。
また、病変部の前後はパーフォレーションを防ぐため、他のワイヤーを使用することが多いです。

その際に使用するデバイスに関してはこちらの記事を参考にしてください。

  • CTO病変用に先端荷重が重くなっているワイヤー
  • パーフォレーションに注意

⑤ 点で刺して通したい:テーパーワイヤー

「押してもダメ」「狙って刺したい」
この困りに対応するのがテーパーワイヤーです。

テーパーワイヤー
  • ASAHI社
    • XT-A
    • XT-R

テーパーワイヤーはCTO用ガイドワイヤーと同様に、CTO病変に対して適しているワイヤーです。
先端荷重が重く、貫通力を高くしているCTO用ガイドワイヤーとは異なり、
テーパーワイヤーは先端が尖っており、病変を突き刺して通過していくことが可能です。
そのため、CTO用ガイドワイヤーと同じく、貫通力が高いワイヤーともいえます。

テーパーワイヤーは先端荷重が軽いワイヤーから重いワイヤーまで種類があるため、
徐々に先端荷重を重くしていくのが一般的です。


また、貫通力が高いため、パーフォレーションに注意が必要で、
CTO用と同様、前後でワイヤーを戻すことが多い点も特徴です。

  • CTO病変用に先端部が尖がっているワイヤー
  • パーフォレーションに注意

その他:名前は聞くが目的が違うワイヤー

実はガイドワイヤーはPCI用以外にも存在します。

ガイドワイヤーの種類
  • PCI用ワイヤー(外径0.014)
    PCIの際に使用されるワイヤー
  • プレッシャーワイヤー(外径0.014)
    FFRなどの検査で使用するワイヤー
  • カテーテルワイヤー(外径0.035)
    CAGなどで使用するワイヤー

プレッシャーワイヤー

プレッシャーワイヤーはAbbott社から販売されているワイヤーで
主にFFRやRFRといった狭窄度合いの評価を行うために使用するワイヤーです。


検査時には白いセンサーのようなものを付けているのですが、検査の結果、狭窄があり、
PCIを行う必要がある場合はこのワイヤーのセンサーを取り外すことでそのまま
ガイドワイヤーとして使用することが可能です。

ですが、用途としては検査なので、検査用のカテーテルと覚えておくといいでしょう。

FFRやRFRの検査についてはこちらの記事を参考にしてください。

  • プレッシャーワイヤーはFFRやRFRで使用するワイヤー
  • ガイドワイヤーとしても使用できる

カテーテルワイヤー

カテーテルワイヤーは心臓のカテーテル治療以外にも尿道カテーテルなど、様々な場面で使用されています。
冠動脈に対してこのワイヤーを用いる際は
穿刺部位から冠動脈までの道のりに対してのガイドを行う時に使用します。

今まで紹介してきた2種類とは異なり、外形が0.035インチとなっており、少し太めなのが印象的です。

カテーテルワイヤー
  • TERUMO社
    • ラジフォーカスガイドワイヤー(アングルタイプ)
    • ラジフォーカスガイドワイヤー(スティフタイプ)

私の施設ではテルモ社のラジフォーカスガイドワイヤーを使用しています。
医師からは35ワイヤーと呼ばれたりもしています。

患者さんの血管次第ではより細い0.025インチのワイヤーや先端が細いスティフタイプのものを使用します。

  • 心臓以外にも幅広く使用されているワイヤー
  • 心臓カテーテルを行う際は検査、治療共に必要
  • 冠動脈までたどり着かない場合は外径や先端の形状を変更する

まとめ

ガイドワイヤーで大切なのは種類を丸暗記することではありません。
覚えるべきはこれです。
「医師はいま、何に困っているのか」

・通したい
・滑らせたい
・支えたい
・貫きたい


この困りが分かれば、次に出るワイヤーは自然に読めます。

今すぐやること
  • 自施設のファーストチョイスを把握する
  • よく使うワイヤーを「困り別」に整理する
  • PCI中、ワイヤー変更時に理由を考える

それができるようになると、PCIの見え方が一段変わります。
一緒に頑張りましょう!



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