CFRってなに?:臨床工学技士が押さえるべきポイント | みんなのMEセンター

CFRってなに?:臨床工学技士が押さえるべきポイント

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CFRについて 血管カテーテル

臨床工学技士として、循環器系の診断や治療に関わる場面で「CFR」という言葉を耳にしたことはありませんか?

CFR(コロフロー、Coronary Flow Reserve)は、冠動脈の血流予備能を評価する重要な指標で、
心臓疾患の診断や治療方針の決定に欠かせません。

特に、FFR(Fractional Flow Reserve)との違いを理解することは、正確な診断や治療に直結します。

この記事では、CFRの基礎知識からFFRとの違い、実際の臨床での活用方法までを親しみやすく解説します。

スキルアップを目指すあなたに、すぐに役立つ情報をお届けします!

この記事でわかること
  • CFRについて
  • IMRについて
  • CFRとFFRの違いについて
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CFRとは?その定義と臨床での意義

CFR(Coronary Flow Reserve、コロフロー)は、冠動脈の血流予備能を測定する指標で、
安静時と最大拡張時の冠動脈血流量の比率を示します。


具体的には、安静時の血流に対する最大血流(薬剤負荷時)の増加倍率を表し、
通常は2.0以上の値が正常とされます。

この指標は、冠動脈狭窄の重症度や微小血管障害の評価に役立ちます。

臨床工学技士にとって、CFRはカテーテル検査や心臓画像診断の場面で重要なデータを提供します。
例えば、CFRが低い場合は、冠動脈の血流が十分に増加しないことを示し、
虚血性心疾患の診断や治療方針の決定に影響を与えます。

CFRの測定に使用する物品

Abbott社製
PressureWire™ X ガイドワイヤー

CFRの測定方法は、以下の通りです。

CFRの測定方法
  1. ガイドワイヤーとシステムのセットアップを行う
  2. 安静時(Resting)の状態で2~6ccの生理食塩水を投与(3回)
  3. 最大拡張時(Hyperemia)の状態にするために血管拡張薬(例:アデノシン)を投与する
  4. 最大拡張時(Hyperemia)の状態で2~6ccの生理食塩水を投与(3回)
  5. CFRの結果が出る

PressureWire™ X ガイドワイヤーを用いた測定方法
熱希釈法
術者が室温の生食を冠動脈に注入すると、PressureWire™ X ガイドワイヤーは
近位部および遠位部を通過する生食の温度変化を検出
冠動脈の血流は、近位部および遠位部で感知された生食の温度変化の時間に基づいて推定

CFRの特徴は以下にまとめまています。

CFRの特徴
  • 全体の血流予備能を評価
    安静時と最大拡張時(Hyperemia)の血流量の比率を測定し、
    冠動脈全体(大血管と微小血管)の血流能力を示す。
  • 測定方法
    熱希釈法で測定し、安静時の平均通過時間(Tmn_rest)を最大拡張時のTmn_hyperで割り、
    CFRを算出(正常値は2.0以上)。
  • 幅広い診断に使用
    冠動脈狭窄や微小血管疾患の診断、治療効果や予後の評価に役立つが、血圧や心拍数の影響を受けやすい。
  • CFRは安静時と最大拡張時の血流の比率を示す
  • 正常値は2.0以上で、低下は冠動脈や微小血管の問題を示唆
  • 臨床工学技士はCFR測定機器の操作とデータ解釈に携わる

IMRとは?その定義と臨床での意義

CFR測定時には同時にIMRを測定することも可能です。

IMR(Index of Microcirculatory Resistance)は、冠動脈の微小血管抵抗を定量的に評価する指標で、
微小血管機能の診断に特化しています。


IMRは、遠位冠動脈圧(Pd)と熱希釈法による平均通過時間(Tmn)を用いて算出され、
正常値は通常25未満とされます。


IMRが高い場合(例:IMR≥25)、微小血管機能障害が疑われます。

IMRの測定手順はCFRと一部共通しており、熱希釈法を用います。
そのため、CFRの測定が終わればIMRの値も算出されているということです。

IMRはCFRと異なり、冠動脈の微小血管に特化した指標で、
心拍数や血圧などの血行動態の影響を受けにくい特徴があります。

これにより、微小血管疾患の診断において高い再現性と特異性を提供します。

IMRの特徴は以下にまとめています。

IMRの特徴まとめ
  • 微小血管抵抗に特化
    最大拡張時の遠位冠動脈圧(Pd)と平均通過時間(Tmn_hyper)から微小血管の抵抗を計算
    (IMR = Pd × Tmn、正常値は25未満)。
  • 血行動態の影響を受けにくい
    心拍数や血圧の変動に左右されず、微小血管機能障害(CMD)の診断に高い再現性と特異性を提供。
  • INOCA診断に有用
    非閉塞性冠動脈疾患による虚血(INOCA)や微小血管疾患の評価に特化し、治療方針の決定をサポート。
  • 血行動態の影響を受けにくく、微小血管疾患の診断に特化
  • IMRは微小血管抵抗を評価し、正常値は25未満
  • 熱希釈法でPdとTmnを測定し、IMR = Pd × Tmnで算出

CFRとFFRの違いを徹底比較

CFRとFFR(Fractional Flow Reserve)は、どちらも冠動脈の評価に用いられる指標ですが、
目的や測定する内容が異なります。

FFRは、冠動脈狭窄が血流に与える影響を直接評価する指標で、狭窄部の圧力勾配を測定します
(正常値は0.80以上)。


一方、CFRは冠動脈全体(狭窄部と微小血管を含む)の血流予備能を評価します。

例えば、FFRは「特定の狭窄がどの程度血流を制限しているか」を知るために使われ、
治療(例:ステント留置)の必要性を判断するのに役立ちます。


一方、CFRは狭窄だけでなく、微小血管の機能障害も含めた全体の血流能力を評価するため、
より広範な診断に使用されます。

臨床工学技士として、CFRとFFRの違いを理解することは、
医師や他の医療スタッフと円滑に連携するために不可欠です。

例えば、FFRが正常でもCFRが低い場合、微小血管疾患の可能性を考慮する必要があります。
このようなケースでは、臨床工学技士は正確なデータを提供し、医師の診断をサポートする役割を果たします。

  • FFRは狭窄部の圧力勾配を評価、CFRは全体の血流予備能を評価
  • CFRは微小血管疾患の診断にも役立つ
  • 臨床工学技士はCFRとFFRのデータを正確に取得・解釈する必要がある

まとめ

CFR(コロフロー)は、冠動脈の血流予備能を評価する重要な指標であり、
臨床工学技士にとって循環器領域でのスキルアップに欠かせない知識です。

FFRとの違いを理解することで、狭窄や微小血管疾患の診断をより正確にサポートできます。
CFRの測定では、検査に使用する物品の準備や測定機の操作、データ解釈、チーム連携が求められ、
臨床工学技士の専門性が光る場面です。

CFRの知識を深めて、患者さんの診断や治療に貢献しましょう!

一緒に頑張りましょう!

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